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寒い、力を使い果たしたのだろうか?

とても寒く感じる

――大丈夫だ、絶対に助かる

体が温まったような感じがした



「……ここ…は」

気づいた天后はあたりを見渡す

「天后?」

天一がほう、と息をついた

「天一?」

「ああ、気づいたのね。良かった。どこかつらいところはない?」

そう言われて天后は自分の体に意識を向ける

痛いところなどはない。強いて言うなら疲労感が強いことだろうか

そういうと、あれだけ力を使えばね、と安心したように微笑まれた

天一の笑顔はほっとする、疲労のせいでまぶたが重くなるのを感じるが、そういうわけにもいかないことを思い出す

「天一、あれから……」

「太陰が通った軌跡を白虎と私が力ずくで開いてな」

低い声が響いて勾陣が姿を現した

「満身創痍のお前達を連れ出したのさ」

「勾陣」

親友の顔を見て、とても嬉しくなる

会うことが出来て本当に良かった

「太陰は、どうしてるの?」

気にかかっていることを聞く

「白虎と玄武と一緒にいます」

「太陰も疲れ果てていてね、休ませている。お前が起きたことを知らせてくるよ。とても心配していたからね」

「騰蛇……は?」

もう一つ気になったことを聞いた

「……騰蛇は」

妙に歯切れが悪い。あの冷静沈着の勾陣がだ

「騰蛇はどうしたの!?」

嫌な感じがして、天后は疲労で動かない体を無理矢理動かす

「天后」

天一が心配そうに声をあげる

けれど天后は首を振って親友をじっと見た

「眠っている」

「眠って?」

返答に意味が分からず眉をよせると、勾陣は天后に向き直って言葉を付け足す

「私達が二人を見つけたとき、騰蛇は自力で脱出困難なほど限界だった。白虎の風で引き上げたときに気絶したまま、未だに意識は戻っていない」

「でも、天后も今まで気づかなかったのですから、あまり心配することではありませんよ」

天一が気にかけないように声をかける

「時間はどれだけたったの?」

「異界に引き込まれてから五日。太陰が出てきたのは次の日、お前達を引き上げたのがさらにその次の日。まる二日眠っていたんだ」

――助け出されるまでに三日

「天后、もう休んでください。顔色がよくありません。勾陣も今、そんなことを言う必要はないでしょう」

天一が非難の声をあげる

「分かっているよ。天后、あいつは大丈夫だ。そんなに軟じゃない。十二神将最強だからな」

その言葉に胸が疼いた

額に勾陣の手が当てられる

彼女の手はひんやりとしていて、とても心地が良かった

「大丈夫だ」

――大丈夫だ

また声が聞こえる

誰のこえだろう

分からない

けれど、とても安心する声だった





――――――
なんだかやたらと長くなっております
紅后ですね。私は結構好きですけど、どこかでやってないかな?
う〜ん。しばらく書かなかったら何を書こうとしてたかわすれちゃった(おい!!)
やっ、筋は覚えてるんだけどね、前回と今回の間、何かあったような気がするんだよなぁ
h20/4/17
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