共犯者達のてのひらのうえ

六年生×文次郎♀
文庫サイズコピー・P80・400円・女体化・R18


あらすじ

欲求不満の六年生が、くのたまの文次郎を襲う話


本文サンプル

「女を抱きたい」
六年になって早数か月。久々の酒盛りと称してろ組の部屋に集まった六年の面々は、小平太のその一言で呑んでいた酒を吹きだした。
「ちょ、お前いきなりなんだ」
げほごほと咽伊作の背を撫でながら、留三郎が声を荒げる。
「えー。そのままの意味だけど。色実習の話とか誰かきた?」
「気持ちはわからんでもないが、今年のくのたまはあいつだけだろ」
留三郎の言葉に六年の面々は一人のくのたまを思い浮かべた。
潮江文次郎。今年のくのたま唯一の六年生だ。
忍たまの色実習は五年の夏から、くのたまの色実習は四年の冬から。そう決められているが、誰もがくのたまとの色実習にあたるわけではない。
誰もが一度は色実習にあたることはあるが、くのたまの指定した部屋へ辿り着けなかったり、人数の関係で一度しかあたれなかったり。
年ごろの男にとっては死活問題であった。
特に今年は文次郎しか六年がいない。その下は四年生。色実習に参加できる時期ではなかった。
欲を発散したいなら、色町へ繰り出せばいいのだが、生憎、学生が何度も色町へ繰り出すことは難しい。
だからこその小平太の言葉で、それは全員理解していた。
「文ちゃんでいいから、抱きたい」
「はぁ? 俺は嫌だね。あんな男女」
小平太の言葉に留三郎が眉を寄せた。
「留さんは昨日もぼこぼこにされてたしねぇ。女の子だからって手加減してるの?」
「俺が、あいつに、手加減を?」
まさか、と苦々しい表情で留三郎は否定する。全力でかかっても負ける時があるのだ。その時を思い出したかのように留三郎は拳を握りしめた。
「そもそもあんな胸がない女は女じゃない」
きっぱりと言い放った留三郎に、長次が冷めた視線を送る。しかし若干酔っている三人には関係ない。
「えー。でも射れる場所があればいい」
「小平太、それ女に失礼だろ」
「穴があればいいなら男娼でもいいじゃん。遊女より安いんだし」
「それはやだ。ちっさくたって女の子がいい」
「町で引っ掛けてくればいいじゃない」
「いろいろ気を使わなきゃなんないじゃん、めんどくさい」
わいわいと話している場に爆弾を投下したのは仙蔵だった。
「文次郎はそこそこ大きいぞ。形もいいし」
その一言に長次も合わせて四人の視線が仙蔵に集まる。
「ん? どうした」
「いや、なんで文次郎の胸のでかさとか形とか知ってるわけ?」
伊作の疑問に仙蔵は目を瞬かせた後、口端をあげた。
「あいつの色実習の相手をしたことがあるからに決まっているだろう」
「えっ、ちょっと待って、色実習って同学年はできないんじゃ」
色実習を行った後は、どうしても気まずくなるために基本的に同学年では行わない。上級生か下級生のどちらかが相手で、六年になったとき初めて同学年のくのたまの相手をするのだ。
「そうなんだがな、この学年ではあいつだけが残るだろうって最初から考えられてたらしい。でだ、六年になってから一人で全員相手をするのは酷だろう、というシナ先生の気遣いで事前に相手をしていたというわけだ」
「なんかずるい」
「ずるくはない。小平太だと授業と割り切れんだろう。そういう意味もあっての私だ」
むー、と少し不機嫌そうになった小平太だったが、仙蔵の言っている意味も分かるので、そのまま大人しく引き下がった。
「文次郎って胸あるの? そんなにあるように見えないけど」
と伊作が問えば仙蔵は頷く。
「あるぞ。さらしできっちり巻いているのと、着やせするようでな、無いように見えるが、手に余るぞ」
「本当に!」
仙蔵の答えに小平太の表情が変わった。
「おっきいの? 本当に? 挟める?」
ごんっ、と小平太の頭が鳴った。長次が下品、とばかりに小平太の頭に拳を落としたのだ。
「長次、痛い」
「……自業自得だ」
「まぁそんなに怒るな長次」
長次にしてみれば、友人をそういう目で見るということはどうしても抵抗があるのだろう。
若干機嫌の悪い長次に、仙蔵はまぁまぁとなだめた。
「気持ちは分からんでもない。どうだ、文次郎が抵抗できない方法でもとってみようか?」
「仙蔵!!」
長次が声を荒げた。
しかし、伊作、小平太、留三郎の表情が変わったのを見て、仙蔵は笑う。
「長次、今年はくのたまの数が少ない。このままいけば、綻びは必ず出るぞ」
仙蔵の言い分はもっともだ。五年の色実習もそろそろ始まる。そうなると、六年の実習が行われるのかどうかすら怪しい。
小平太が暴走する前にどうにかしなければならない。そう思ったのが運のつき。
うっそりと笑った仙蔵に誰も否を唱えることはなかった。