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意識のない勾陣が意識を取り戻したのはすべてが終わった後だった
「勾陣、良かった気がついたのね」
天后は胸を撫で下ろす
天后と同じく勾陣の傍で留まっていた太裳は晴明に知らせるために異界を離れた
変わるということ
しばらく視線を彷徨わせていた勾陣が天后に合わせる
「どうかしたの?」
何か言いたいことがあるのだろうかと、天后は尋ねた
勾陣はしばらく黙っていたがゆっくりと言葉を発する
その言葉に彼女は凍りついたが別の声が勾陣に「是」と返した
「翁!!」
十二神将を束ねる長・天空がその場に姿を現す
「天后、そう叫ぶでない。勾陣の傷にさわる」
その言葉に天后ははっとする
「すみません」
謝ったがその視線は物言いたげで、天空はため息をついた
「場を移そうか」
天后は頷いた
「どうして『是』と答えたのです?」
移動した天后は天空に尋ねる
「勾陣がそう望んだからだ。少しは信じてやればよい」
「そんなことを言ったって、今の勾陣に騰蛇を近づけるなんて」
先ほどの勾陣の言葉
『騰蛇に逢わせてくれ』
その言葉に天后は心臓が凍る思いがした
ただでさえ傷が深いというのに苛烈な神気の凶将騰蛇と会えば治るものも治らない
天后は未だ50年前のことを許してはいない
あのときのことを思い出すと涙があふれてくる
「天后」
天空が天后の名前を呼んだ
「あれも変わったのだ。それはお前も分かっていることだろう」
「……」
天后は唇を噛み締める
確かにそれは分かっている。しかし、それとこれとは別なのだ
「たとえ騰蛇が変わったとしても、同じことがもう起こらないとは限りません」
現に騰蛇は再び過ちを犯した
「誰もがあれを許す訳ではない。青龍はけしてあれを許すことはないだろう」
「私も許すつもりはありません」
「それでよいのだ」
その言葉の意味が分からず険しい顔のまま天后は尋ねる
「どういうことですか」
「全員が許すことはない。だが、全員が許さないということもあってはならない」
伏せた目を空へと向ける
晴れることのない異界の空を天后も見上げた
「我らは同胞。ただ、それだけなのだ」
意味が分からない天后に天空は首を振った
「分からないならそれでよい。いつか分かる日が来るかもしれぬ」
言葉を残し天空はその場を離れた
『あれは変わった……』
彼が変わったのは知っている
誰がそれを成したのかも
けれど、恐いのだ
あの神気が恐い
同じ凶将の勾陣よりも苛烈な神気
どうして彼だけが……
「我らは同胞……」
いつかその意味が分かる日がくるのだろうか
そしてその時、自分はどうするのだろうか
終
――――――
また今回も分かりにくい話ですね
紅蓮のやったことは許されないことだけど、理由もちゃんとあるし同胞だし、許してやってもいいのだと
でも同胞だからこそ許すことをしてはいけないんだ
って言いたかったんだけどね
やっぱり私は紅蓮を救済したいらしい(苦笑)
そしてこれは違う話の伏線になってたり……するのかもしれない
結構難しいです
h20/1/17
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