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時間とともに



騰蛇は恐ろしい。
傍によることさえ、恐ろしい。


青龍は、恐い。
会話をしたいと思わない。


天空は緊張する。
あの威圧感に萎縮してしまう。


白虎は分からない。
何を考えているのか分からない。
ただ、感情の見えない目で十二神将をみている。



「――ということだ。もうしないか?」
白虎の言葉に、私はこっくりと頷いた。

何度も怒られているのに、どうしてもそれを繰り返してしまう。
今日も、騰蛇を見た瞬間に風を荒らしてしまった。

「黙っていてくれればよかったのに」

玄武の馬鹿、と聞こえないように呟いたのに。

「何か言ったか、太陰」
「な、何も言ってないわよ」

あたしと同じ風を操る神将っていうのを忘れてた。
慌てて顔の前で手を振って、言葉を否定する。

「玄武に謝ってくるか」
「はい」

落ち込むように、小さく返事をした。



「まったく」

ため息をついて、太陰を見送る。
毎回懲りない太陰に、今回こそは、と思って説教を繰り返す。
それが逆効果になっているのは知っているけれど、どうにもこうにも止められない。
何度も繰り返せば、それが叶うのでは、と思ってしまうのは期待はずれだろうか。

『白虎』
ふと、声が聞こえた。
太陰を説教した後によく思い出す声だ。
『何を、考えているの?』
そう太陰は聞いてきたのだ。
『言ってくれなきゃわかんないわよ』
目に涙を溜めて、今にも零れ落ちそうだった。






――――――
ごめん。どうしても続かない。
続けたい。
とりあえずここまで。
h21/11/20

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